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専攻医会

専攻医会|一般社団法人日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会

2023年度専攻医会幹事の活動報告について

名称 開催日 内容
専攻医会 2ヵ月に1回
(年6回)
研修医・専攻医支援部会から選出された幹事として、総合診療領域の発展のために建設的な意見を述べた。
※来年度は幹事同士で会議を進行する予定
専攻医の会
~研修支援企画(包括的統合アプローチについて考えよう)~
8月19日(土) 専攻医同士の交流と学びの場を提供することを目的とし、2023年度1回目は7つの資質・能力の一つ「包括的統合アプローチ」について、専攻医がグループ毎に各研修環境での学修方法を共有し、ディスカッションを行った。その際に、幹事がグループのファシリテーターを務めた。
研修医説明会 5月20日(土)
9月16日(土)
研修医を対象に総合診療専門医の魅力や研修内容等について、プレゼンテーションを行った。

※12月18日(月)「第5回専攻医会」で議論、12月25日(月)研修医・専攻医支援部会で決定2024年1月の広報部会へ提出

幹事の皆さまへインタビュー

※敬称略

宇津野 瞳

プログラム名:板橋中央総合病院 総合診療科プログラム
所属施設:板橋中央総合病院
氏名:宇津野 瞳

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

総合診療科のプログラムに従って、内科、救急、小児、地域など幅広く経験しました。また、総合診療科の自由選択期間を利用して、新規に提携を結んで頂き、希望していた九州大学心療内科での研修もさせて頂きました。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私は学生時代から精神科を志望していましたが、初期研修終了時点で、もう少し内科的スキルを勉強したかったことや、地域、在宅など幅広いセッティングでの医療を経験したかったため、総合診療科を選択しました。総合診療科の研修を終えた後に精神科に進む予定です。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

上記理由で総合診療科をまずは専門としましたが、選択してよかったと心から感じています。目的であった内科スキルの向上はもちろん、総合診療科の強みであるナラティブな視点を得られたことは必ず今後の診療に生きると考えています。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

自分の所属する専門研修プログラムでは、整形外科から転科した先輩や、公衆衛生に進む後輩、同じく精神科研修を見据えて総合診療科を最初の専攻に選んだ後輩など、様々なバックグラウンドや目的をもった専攻医が集っており、多様性を受け入れる文化のあるプログラムである点が特徴的だと思います。画一的に家庭医や病院総合診療医を目指すのではなく、そうした個人のニーズに合わせて柔軟に研修を考慮してくれる点が非常に魅力的に感じました。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

まだ制度上十分整備されていない部分もあり、専門医取得にあたって提出すべき課題や事務的な手続きの面で不安を感じることが多かったです。そうした部分のサポートがあるとより安心して研修ができたと思います。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

総合診療科で学んだことを生かして、ジェネラルマインドを持った精神科領域のスペシャリストになりたいと考えています。

小原 俊介

プログラム名:順天堂大学 総合診療専門医研修プログラム
所属施設:順天堂大学医学部附属順天堂医院
氏名:小原 俊介

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

私は順天堂大学医学部附属練馬病院で臨床研修を行い、その後は順天堂大学の総合診療専門医研修プログラムに参加させていただきました。
専門医研修1年目は3か月ずつ総合診療科、高齢者総合診療科、小児科、救急科をそれぞれ別の病院で回らせていただきました。2年目となる現在は、地域研修として1年間、伊豆諸島にある新島の診療所で勤務、研修を行っています。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私は東京都地域枠の制度を利用して大学に入学しており、いわゆるへき地医療への従事義務があります。そのため地域研修を含む総合診療専門研修との親和性が高かったことが理由の一つです。
また、純粋に各科の知識を合わせれば「総合診療」になるわけではないのだろうと研修医の頃にうっすらと感じたこともあり、総合診療科としての考え方や、視点を身につけたいと考え基本領域に総合診療を選択いたしました。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

個人的にはやはり小児科、救急科、地域研修が必修として含まれていることに大きな意義を感じます。プライマリ・ケアの現場で知識や技術が役立つのはもちろん、小児から成人、急性期から慢性期、在宅・診療所から大病院など、幅広い視野を持つための軸を自然に意識することができました。また総合診療の奥深さや醍醐味が少しずつ垣間見えてきており、まだまだ修行が必要だと痛感する毎日です。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

大学病院の強みとしては多くの連携施設があり、選択肢が非常に多い点が挙げられると思います。例えば私の場合は島嶼地域での勤務を見据え、小児科、救急科の研修はよりコモンな症例を多く経験できる市中病院や附属病院で行いました。また高齢者医療を専門にした病院での研修も地域研修前にできるようプログラムを組んでいただきました。
地域研修についても島嶼地域を含む複数の病院や診療所と提携しています。地域特性や医療機関としての規模、役割がそれぞれ異なる研修先の中から研修の場を相談することができます。
加えて、大学としての教育、研究といった学術的な学びへのアクセスを常に持つことができる点も特徴だと感じています。バリエーションに富んだ研修先にいながらも、様々な専門分野や経歴を持った先生方と関わらせていただくことで、自身のキャリア形成についても考える機会に恵まれています。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

他科で研修をさせていただく際、当該科の専門研修ではなく、総合診療科の専門研修としての達成目標を研修先の先生方とより共有できるような仕組みが研修手帳以外にもあるとさらにありがたいと感じました。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

義務年限の間はへき地医療に従事しながら、専門研修で得た学びを医療の実践を通じて地域に還元していきたいと思っています。義務年限終了後についてはその時の関心やライフステージに応じて考えるつもりですが、柔軟なキャリア展開の下地を作ることができるのも総合診療専門研修の強みなのではないかと感じています。

工藤 銀河

工藤 銀河

プログラム名:岩手県立中部病院総合診療専門研修プログラム
所属施設:岩手県立中部病院
氏名:工藤 銀河

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

2019年に医学部卒業後、岩手県北部にある市中病院で臨床研修を行いました。3年目から県立中部病院のプログラムに入り、2023年度で総合診療専門研修修了予定です。専門研修中は、基幹施設である県立中部病院のほか、総合診療Ⅰとして県立東和病院という地域密着型病院でも研修を行いました。同期や先輩もほとんどいない岩手県という環境のなかでも、Zoomなどを活用しながら振り返りをしていただき、研修を進めることができました。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私はもともと、自分は内科系のどこかに進もうと大まかには考えていました。臨床研修を進める中で、医療資源の少ない地方で必要とされているのは臓器別の専門にとらわれず広く診られる医師だと感じる場面が多くありました。どんな患者でも責任をもって自分で診る、またそれぞれの地域・施設に応じて多様な診療内容に柔軟に対応出来る医師になりたいと考え、総合診療を選択しました。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

研修開始当初は、岩手県内で総合診療専攻医という存在があまり浸透していなかったこともあり、他科からの信頼を獲得するのに苦労を感じたこともあります。ただ、どんな患者でも対応し、他科ともしっかり連携をとる真摯な診療態度を示していくことで、徐々に信頼を得られるようになった感覚がありました。専門研修2年目以降で地域密着型病院に出た際には、なんでも診るという総合診療マインドを持っていることが、非常に重宝されるということを改めて実感でき、やりがいにつながっています。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

私は岩手県立中部病院の総合診療プログラムであり、基本的に岩手県の中部圏域という二次医療圏での研修でした。しかしその後岩手県ではいわてイーハトーブ総合診療専門研修プログラムという県全体の統一プログラムが立ち上がっています。これにより、岩手県内全域の医療機関が研修先として選択できるようになり、研修の幅が非常に広がったと感じます。自然豊かな環境で患者さんも温かい人が多く、各施設の指導医からも県内の大切な専攻医をしっかり育てていこうという熱意を感じます。穏やかな環境で心理的に安心感を感じながら診療に集中できるプログラムだと思います。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

定期的に振り返りを行ってもらえる指導医の存在、そして振り返りを診療業務から離れた時間として確保してもらえるような各診療科の理解・協力が必要だと思います。プログラムによっては周囲にロールモデルとなるような先輩や指導医が少ないことも多いと思うので、遠隔でも振り返りや勉強会への参加がしやすくなるように、つながり作りのサポートも必要になると考えます。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

今後数年間は、地域枠の義務履行のため、地域病院での勤務が続きます。将来的には、在宅医療専門医を取得し、在宅医療を中心として働きたいと考えています。現在は岩手県内で在宅医療専門研修のプログラムがないため、いずれは岩手県にいても在宅専門医を取得しやすい環境を整えるのが夢です。

小薗 佐和子

小薗 佐和子

プログラム名:防衛医大・全自・所沢連携 総合診療専門研修プログラム
所属施設:防衛医科大学校病院
氏名:小薗 佐和子

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

自衛隊中央病院・防衛医科大学校病院での2年間の臨床研修を終えた後、医師3、4年目は陸上自衛隊の駐屯地で医務室の医官として勤務していました。
医師5年目からは防衛医科大学校病院で勤務しています。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私は元々医師を目指そうと思った時の自分のなりたい医師像が「地域に根ざしたかかりつけのお医者さん」であったため、総合診療が一番しっくりきたからです。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

小児科や救急、在宅医療など、様々な分野を学ぶことができ、充実しています。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

防衛医大プログラムなので、プログラム所属の防衛医大卒の医師に限られます。
医師3、4年目での配属先(病院、医務室など)が様々です。5年目からは防衛医科大学校病院を中心とした、所沢市周辺の病院・クリニックなどでの研修を行っています。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

総合診療医は病院で病棟医として働いたり、家庭医として働いたり、キャリアパスが多岐に渡ります。そのため、個々がどういうキャリアパスを歩みたいか、それによって研修内容を柔軟に対応できるようなサポートがあれば良いと思います。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

まずは自衛隊の医官として自衛隊員の日々の健康管理・診療を行いたいと考えています。

林 亮佑

プログラム名:亀田家庭医総合診療専門医プログラム
所属施設:安房地域医療センター
氏名:林 亮佑

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

地域医療をする上で救急のスキルも大事であろうということから、当初は専門研修で救急科に進むことも考えていました。救急診療を強みとする病院で臨床研修を行い、研修の中で基本領域の進路を決めようと考えました。臨床研修では多くの経験をさせてもらい、どんな患者さんでも主体的に診ようと思う姿勢が身についたと思います。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私が生まれ育った千葉県の南房総地域では人口減少、高齢化が顕著でした。そうした地域で暮らす人の役に立つためには、総合診療のスキルが不可欠だと考え、この領域に進みました。上述した救急のスキルに関しては、総合診療研修の中で意識的に取り組むことで補おうと考えました。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

包括的統合アプローチをはじめとする総合診療の専門性の獲得のためには、多くの経験と省察を必要とし、一朝一夕で身につくものではないと実感しています。専門研修で修得する土台を基に、長期的な視点で自分の診療の幅を広げ、質を向上させることが大事だと思いました。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

私が所属するプログラムは基本的に、千葉県の南房総という1つの地域で完結するため、全研修期間に渡って同じ場所で外来を持ち続けることができます。継続性を持って患者さんを担当できる点が特長だと思います。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

ローテート研修を行う先の領域別専門医が総合診療医の役割について理解してくださっていると研修の質が向上すると思います。総合診療医として必要な知識やスキルの目標を各領域において示すことや、領域別専門医や社会全体の総合診療への理解を進めることそのものが研修のサポートになると思います。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

現時点では地域包括ケアシステムの要となるような中規模病院で”病院家庭医”として働くことをイメージしています。そのために総合診療のスキルをより高めると同時に、マネジメントの手法などについても学んでいきたいです。

稗田 史子

稗田 史子

プログラム名:滋賀家庭医療学センター
所属施設:弓削メディカルクリニック
氏名:稗田 史子

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

済生会千里病院で2年間の臨床研修を終えた後、主人の転勤の都合や家庭などの諸事情があり各地で内科医として外来・病棟・救急外来などで常勤・非常勤で勤務していました。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私が臨床研修医の頃は総合診療という専門研修はありませんでした。
今までのキャリアを、総合診療専攻医コースに乗ることにより系統立てて今一度整理し、学びを得たいと考えたためです。

3.実際に総合診療専門研修をはじめてみた感想を教えてください。

常に学びの意欲があり、知識のアップデートを絶やさない環境で働かせて頂いており、良い刺激があります。老若男女、全ての患者を最後まで決して見離さない、そんな科であると感じています。ただ、診療のセッティングによって、総合診療医の”総合診療力”が発揮しきれない(専門科にプライマリの段階で細分化されてしまう)歯痒さを感じることもあります。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

他科転向の先生や、背景や年次が様々な先生が一緒に働いており、多様性に富んでいる点です。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

診療セッティングによってですが、専門研修の研修手帳(J-GOAL)に馴染みが薄い指導医もいらっしゃいます。そういった点で指導医側にもある程度マニュアル化した説明があると良いかもしれません。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

病棟・外来・救急セッティングなど、様々な場面で働きたいです。救急科専門医取得も少し検討していますが、家庭の事情もあるため難しさも感じています。超音波専門医(日本超音波医学会)を取得する予定です。様々な場面で超音波検査は有用なため、系統だった技術を取得しプライマリ・ケアの診療セッティングで活用したいと思います。

山並 寛明

プログラム名:福島県立医科大学総合診療専門研修プログラム
所属施設:福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座(令和6年1月現在:只見町国民健康保険朝日診療所に勤務)
氏名:山並 寛明

1.どんな臨床研修(または医師キャリア)を過ごしていましたか。

2016年4月から、宮城県内で2年間の医師臨床研修を行い、その後同県で内科専門研修を行っています。2021年4月から、現在のプログラムで総合診療専門研修を開始しています。

2.専門研修の基本領域に総合診療を選択した理由を教えてください。

私は臨床研修修了時点で、幅広く疾患を診る科の方が自分の能力に適していると感じており総合診療に興味を持っていました。ただ、当時は新専門医制度の初年度であり、周囲に情報が少ない状況でした。そのため、内科での専門研修で研鑽を積んでいましたが、その中でも、自分の学びたいことに近い「家庭医」という像を提供するプログラムに出会い、キャリアチェンジを行いました。

3.実際に総合診療専門研修を始めてみた感想を教えてください。

日頃から振り返りや理論的な所を含めて学んでおり、医療の見方が広く深くなったと感じています。

4.自分の所属する総合診療専門研修プログラム”ならでは”の特長や多様性について教えてください。

家庭医療が充実したプログラムで、経験豊富な指導医に恵まれていることに加え、オンライン等も活用した勉強会など、学修の機会に恵まれています。ロールプレイ学修やビデオレビューを研修に取り入れているのも魅力です。自分自身興味を持っている地域医療について指導医の下で学べる連携施設もあります。

5.総合診療の専門研修には、どのようなサポートが必要だと感じていますか。

悩みを話して自分を振り返れる場と、悩みの解決につながる情報源の手がかりが必要だと思います。

6.総合診療専門医を取得後の展望について教えてください。

地元に帰って総合医を増やす教育側に回る、地域医療を専門に学び地域に貢献することです。