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検討委員会

検討委員会|一般社団法人日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会

委員長からのメッセージ

委員長からのメッセージ

委員長挨拶
この度、日本専門医機構総合診療専門医検討委員会、第5期の委員長を拝命した生坂政臣です。第3期、第4期の羽鳥裕前委員長の下で、実務効率を上げるために設置された部会制を通して黎明期の総合診療専門医制度の基礎固めが行われ、新専門医制度開始初年度184名、翌年の179名と減少傾向にあった専攻医数を250名まで増加させました。今期もこの仕組みを継承しながら、メンバーの若返りを図ることによって現場の声をより汲み上げやすい体制でスタートします。

 総合診療専門医は特定の領域に特化した専門医とは異なり、領域横断性にその専門性があります。簡単に言えば、すべての領域の高頻度疾患に対処できる医師です。私は留学先のクリニックで赤ちゃんからお年寄りまで、また心因精神問題から小外科まで事もなげに対応する米国総合診療医の姿に憧れました。熟練神経内科医の流れるような神経診察に魅了された時のような感動です。現行プログラムの他科ローテーションは主要3分野に限定されているので、より多くの領域を選択できるように運用等を見直して参ります。しかし、それだけでは多くの診療科をローテートする医師臨床研修と同じです。総合診療のもう一段深いレベルでの専門性は、すべての領域の高頻度疾患への対応を修得した上で、患者の特定の領域に焦点を当てることなく包括的に診るところにあります。少し哲学的になりますが、ここでいう焦点とは主意識のことであり、各臓器には副次意識で対処し、主意識は常に患者全体に向かっていなければなりません。したがって総合診療の主たる研修は、主意識を家族や地域を含めた患者全体に向ける訓練となり、臓器あるいは領域を区切った研修はあくまで個人の苦手分野を補う補完研修となります。いわゆる患者の“ビッグピクチャー”把握に始まるこのスキルは、とりわけ多領域の健康問題を抱える高齢者や、心理社会的問題を抱えた複雑な患者の診療に威力を発揮するでしょう。後者の専門性を獲得するためには、全領域を日常的に診療する総合診療医に学ぶのがベストであり、そのような研修が主体となるように研修プログラムを改善して参ります。

 19番目の基本領域として新設された総合診療専門医制度は研修内容の改善の他に、他の基本領域にはない解決すべき中長期的問題があります。専門医育成という観点から国民への質の保証は当然である一方で、国民の身近な存在であるという総合診療専門医の本質的な専門性、すなわち国際的なプライマリ・ケアの定義を示す頭字語ACCCAの最初のA、access(近接性)を満たすために数が必要という点です。しかしながら質を妥協して量産に舵を切る施策は厳に戒めなければなりません。質を疎かにしてしまっては新専門医制度を始めた意味がなくなってしまうからです。当然ながら質と量の両立は容易ではなく、プライマリ・ケア専門医制度を先行して始めたすべての欧米諸国でプライマリ・ケア医は不足しています。National Health Service(通称NHS)の元で各領域の専門医数をコントロールしている英国でもGeneral Physician(GP)の数的充足には苦慮しており、過剰な労働負担等の理由から早期退職者がすべての専門領域の中で最も多い(退職平均年齢59歳)ことが、GP不足に拍車をかけています。Family Medicine発足から75周年を迎える米国も例外ではありません。国内だけでは必要な専攻医数を賄えず、その半数は外国医学部卒業生(私もその1人でした)であり、さらに米国プライマリ・ケアの3割はNurse PractitionerやPhysician’s Assistantなどの医師以外の医療職が担っています。

 翻ってわが国では多くの臓器専門医が開業医として長く地域医療を担い、WHOの健康指数をみても世界に冠たる医療レベルを実現しています。すなわちわが国ではプライマリ・ケア医はすでに国民に身近な存在であり、複数診療科の掛け持ち受診の手間はありますが、英国のように数日、場合によっては月単位で待たされることはありませんし、医師個人の質の評価はなされていないものの、国ごとの比較でみればその質も決して悪くないという、質と量のバランスが取れた希有な医療制度を有していると言えます。今後、災害や新興感染症アウトブレイク等、近年の医療を取り巻く急激な環境変化にも柔軟にワンストップで対応できる総合診療専門医育成の仕組み作りができれば、世界トップレベルの医療体制を不動のものにできるでしょう。懸念点は将来に渡って臓器専門医がプライマリ・ケアに参入して貰える保証がないことです。他領域からのスムーズな参入とプライマリ・ケアの質の担保のためにリカレント教育の充実等を図る必要がありますが、専門医数を適正化するグランドデザイン次第では、欧米諸国のように領域専門医はその領域に特化したまま医師人生を終える時代が来るかもしれません。そのような社会においても、総合診療専門医は協働する仲間と共に効率的なプライマリ・ケアを実現する地域医療のリーダーとしての活躍が期待されますし、それに資する研修制度の確立に尽力して参ります。

2022 年 09 月吉日

一般社団法人 日本専門医機構
総合診療専門医検討委員会
委員長 生坂 政臣

 

委員会・部会・WG構成

50音順 敬称略

総合診療専門医検討委員会 委員長 生坂 政臣
副委員長
  • 飯野奈津子
  • 北村 聖
委員
  • 石松 伸一
  • 井上 健一郎
  • 上原 孝紀
  • 太田 光泰
  • 大橋 博樹
  • 大平 善之
  • 大原 昌樹
  • 草場 鉄周
  • 高村 昭輝
  • 田妻 進
  • 塚田(哲翁)弥生
  • 山田 隆司
  • 横山 彰仁
  • 吉田 素文
議事録一覧はこちら

 

総務部会 部会長 生坂 政臣
部会員
  • 飯野 奈津子
  • 石松 伸一
  • 上原 孝紀
  • 太田 光泰
  • 大橋 博樹
  • 大平 善之
  • 高村 昭輝
  • 塚田(哲翁)弥生
  • 横山 彰仁
  • 吉田 素文
活動
ハラスメント委員会 部会長 塚田(哲翁)弥生
部会員
  • 太田 光泰
  • 大平 善之
  • 小和瀬 桂子
活動
総合診療在り方検討WG 座長 生坂 政臣
部会員
  • 飯野 奈津子
  • 井上 健一郎
  • 片岡 仁美
  • 大原 昌樹
  • 草場 鉄周
  • 菅原 正弘
  • 仙賀 裕
  • 田妻 進
  • 山田 隆司
活動
広報部会 部会長 飯野 奈津子
部会員
  • 大杉 泰弘
  • 太田 光泰
  • 佐藤 浩子
  • 鋪野 紀好
  • 横田 啓
活動
システム部会 部会長 大平 善之
部会員
  • 太田 光泰
  • 北村 友一
  • 近藤 諭
  • 近藤 猛
活動
プログラム部会 部会長 大平 善之
部会員
  • 石井 敦
  • 上原 孝紀
  • 近藤 諭
  • 和足 孝之
活動
認定・更新部会 部会長 太田 光泰
部会員
  • 赤石 雄
  • 上原 孝紀
  • 近藤 諭
  • 高村 昭輝
  • 塚田(哲翁)弥生
  • 廣岡 伸隆
活動
連携部会 内科担当 部会長 横山彰仁
小児科担当 部会長 高村昭輝
救急担当 部会長 石松伸一
活動
専門医指導医部会 部会長 太田光泰
部会員
  • 上原 孝紀
  • 大平 善之
  • 廣岡 伸隆
  • 三好 智子
  • 和足 孝之
活動
認定試験部会 部会長 吉田素文
部会員
  • 高橋誠
  • 菊川誠
  • 高村 昭輝
活動
生涯学修部会 部会長 上原 孝紀
部会員
  • 池上 亜希子
  • 上里 杏
  • 官澤 洋平
  • 小坂 鎮太郎
  • 坂本 壮
  • 佐田 竜一
  • 鈴木 麻衣
  • 中神 太志
  • 野田 和敬
  • 原田 和歌子
  • 渡邉 隆将
  • 和足 孝之
活動
研修医・専攻医支援部会 部会長 大橋博樹
部会員
  • 家 研也
  • 石塚 晃介
  • 太田 光泰
  • 大平 善之
  • 倉澤 美和
  • 櫻井 広子
  • 鋪野 紀好
  • 吉田 伸
活動

議事録

2022年度

2023年3月28日 第5期 第8回総合診療専門医検討委員会 議事録

2023年2月28日 第5期 第7回総合診療専門医検討委員会 議事録

2023年1月24日 第5期 第6回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年12月27日 第5期 第5回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年11月22日 第5期 第4回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年10月25日 第5期 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年9月27日 第5期 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年8月23日 第5期 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

 

2022年6月7日 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年5月10日 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年3月29日 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

 

 

 

2021年度

2022年3月3日 第12回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年2月1日 第11回総合診療専門医検討委員会 議事録

2022年1月6日 第10回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年12月1日 第9回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年11月4日 第8回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年10月5日 第7回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年9月2日 第6回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年8月3日 第5回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年6月29日 第4回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年6月3日 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年5月6日 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年4月1日 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年度

2021年3月4日 第11回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年2月4日 第10回総合診療専門医検討委員会 議事録

2021年1月7日 第9回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年12月3日 第8回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年11月5日 第7回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年10月1日 第6回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年9月3日 第5回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年8月20日 第4回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年6月11日 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年5月8日 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年4月3日 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年度

2020年3月5日 第12回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年2月14日 第11回総合診療専門医検討委員会 議事録

2020年1月9日 第10回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年12月13日 第9回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年11月8日 第8回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年10月11日 第7回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年9月13日 第6回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年8月9日 第5回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年7月12日 第4回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年6月14日 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年5月10日 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年4月12日 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

2018年度

2019年2月15日 第6回総合診療専門医検討委員会 議事録

2019年1月20日 第5回総合診療専門医検討委員会 議事録

2018年11月16日 第3回総合診療専門医検討委員会 議事録

2018年10月12日 第2回総合診療専門医検討委員会 議事録

2018年9月7日 第1回総合診療専門医検討委員会 議事録

前委員長の挨拶

前委員長挨拶(2021年6月)

前委員長挨拶(2019年9月)

前委員長挨拶  (2019年9月)その4

前委員長挨拶(2019年9月)その3

前委員長挨拶(2019年6月) その2

前委員長挨拶(2019年6月) その1

 

総合診療専門医

総合診療医を動画でご紹介いたします。

■大学病院でのコンサルト外来診療 
 千葉大学医学部附属病院 総合診療科 上原 孝紀 先生

 

 

■中規模病院の総合診療
 神奈川県立足柄上病院 総合診療科 岩渕 敬介 先生

 

診療所での外来訪問診療 
 マイファミリークリニック蒲郡 中山 久仁子先生